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酒呑童子は、いつ生まれた鬼なのか――同時代の記録に0件【ゆっくり解説】

源頼光が四天王を率いて大江山の鬼を討つ。日本でいちばん有名な鬼退治の話です。 ところが、頼光と同じ時代を生きた人たちの日記を全文検索すると、酒呑童子は一度も出てきません。 平安時代中ごろの古記録四十七点、三万五百二十三件。そこで「酒呑童子」を検索してゼロ件。 「大江山」もゼロ件。渡辺綱も卜部季武も碓井貞光もゼロ件。頼光は五十五件出てきますが、 鬼を退治した記事は一件もありません。 この回では、律令期の古記録・十四世紀の絵巻・十六世紀の絵巻・近世の軍記を、混ぜずに分けてたどります。 鬼を討つ酒の名前も、四天王の顔ぶれも、鬼が住む山さえ、本によって入れ替わります。 正体をめぐる説はいくつもありますが、今日は一つに決めません。誰がいつ何を根拠に言ったのかを並べます。 00:00 記録に、いない鬼 01:16 日記の中の源頼光 05:37 四天王のうち、記録にいるのは 10:46 いちばん古い本を開く 12:15 最古の本にあって、今の話にないもの 15:46 酒の名前は、後から付いた 16:52 もうひとつの山 19:47 大江山は、どこの山か 22:09 正体をめぐる説を、棚に並べる 27:17 分かったことと、分からないこと ────────── 【この動画での区別について】 ・検索に使ったのは国際日本文化研究センターの「摂関期古記録データベース」です。訓読文を収めたもので、原漢文そのものではありません。 ・源頼光(九四八ごろ〜一〇二一)も藤原保昌(九五八〜一〇三六)も実在します。記録が無いことと、実在しないことは別の話です。 ・「下毛野公時」は同時代の記録に出てきますが、仕えていたのは頼光ではなく藤原道長です。姓も坂田ではありません。同じデータベースに別人の「尾張公時」もいるので、坂田金時の原型かもしれない、というところまでにしています。 ・「四天王」という呼び方は十四世紀の『大江山絵詞』にすでにあります。新しいのは顔ぶれのほうで、今の四人になるのは室町の謡曲や御伽草子から、金太郎と結びつくのが江戸の『前太平記』です。 ・『大江山絵詞』は重要文化財です。国宝ではありません。 ・『大江山絵詞』の成立年代は資料によって違います。逸翁美術館は南北朝時代十四世紀、文化庁の国指定文化財データは室町時代、高橋昌明氏は応安七年(一三七四年)以降としています。動画では「十四世紀ごろ」としました。 ・『今昔物語集』に酒呑童子の話は入っていません。巻二十九にあるのは大江山の盗賊の話で、芥川龍之介『藪の中』の材料になったものです。 ・詞書の引用は鈴木哲雄氏の釈文(都留文科大学研究紀要91、二〇二〇年)によります。逸翁美術館の現代語あらすじとは文言が異なります。 ・保昌の従者について、詞書は官職(大宰少監)だけを書いています。「清原致信」という名は逸翁美術館の解説が補ったものです。 ・酒の名は『大江山絵詞』が「山伏の死筒」、御伽草子が「神便鬼毒酒」です。「神変鬼毒酒」と書く資料もあります。どの伝本がそう書いているかは、今回は突き止められませんでした。 ・鬼の住処は『大江山絵詞』が丹後の千丈ヶ嶽、『酒伝童子絵巻』が近江の伊吹山です。物語が生まれたころの京で「おおえやま」といえば、山城と丹波の境の老ノ坂大枝山を指しました。 ・伊吹明神を八岐大蛇とするのは絵巻の設定です。滋賀県の伊夫岐神社の現在の祭神は伊富岐神で、昭和十八年に改称されています。 ・正体をめぐる説は、どれも解釈であって確定した事実ではありません。提唱者と年を添えて紹介しています。 ・大江山の鉱山開発について、福知山市は「本格的な鉱山が出現したのは大正期以降」と書いています。坑道の名前は伝説から取られたもので、順序が逆です。 ・角があって虎柄の衣をまとう鬼の姿が定型になるのは江戸時代以降です。中世の鬼の絵に、現代の鬼のイメージを重ねないようにしています。 ・画面の図解はすべて自作です。部品のイラストは配布素材を使っています。 【主な参考資料】 国際日本文化研究センター 摂関期古記録データベース https://www.nichibun.ac.jp/ja/db/cate... 逸翁美術館(『大江山絵詞』所蔵) https://www.hankyu-bunka.or.jp/itsuo-... サントリー美術館「酒呑童子ビギンズ」 https://www.suntory.co.jp/sma/exhibit... 福知山市「日本の鬼の交流博物館」 https://www.city.fukuchiyama.lg.jp/so... レファレンス協同データベース「大江山の鬼伝説」 https://crd.ndl.go.jp/reference/entry... 鈴木哲雄「「大江山絵詞(酒天童子絵巻)」の詞書釈文」都留文科大学研究紀要91(2020) https://tsuru.repo.nii.ac.jp/records/504 高橋昌明『定本 酒呑童子の誕生』岩波現代文庫(2020) 若尾五雄『鬼伝説の研究―金工史の視点から』大和書房(1981) 藤澤衛彦『日本伝説研究』第1巻 大鐙閣(1922) 小松和彦「鬼」改訂新版世界大百科事典 小山聡子(鬼の図像と受容について) 【素材・音楽】 音楽:甘茶の音楽工房(https://amachamusic.chagasi.com/) 効果音:効果音ラボ(https://soundeffect-lab.info/) 背景動画:Pexels(https://www.pexels.com/) セリフ枠:OKUMONO+F(https://sozaino.site/f/archives/835) 図解のアイコン:ICOOON MONO(https://icooon-mono.com/) 【画像】 ◆ 表示不要(CC0 / パブリックドメイン) 『大江山絵詞』合戦場面(十四世紀 — 逸翁美術館蔵, パブリックドメイン) 『大江山酒天童子絵巻物』巻一・巻二より 宮中/酒宴/首を斬られる場面/巻子(江戸期の写本 — 国立国会図書館所蔵, パブリックドメイン) 一寿斎国政(二代歌川国貞)「四天王大江山入之図」三枚続(一八四〇年代後半 — フランス国立図書館, パブリックドメイン) 月岡耕漁『能樂百番』大江山(明治三十年代 — シカゴ美術館, パブリックドメイン) 月岡芳年『和漢百物語』酒呑童子(慶応元年=一八六五年 — 国立国会図書館所蔵, パブリックドメイン) 絵本『大江山酒呑童子』より 扉と源頼光公/頼光四天王の合戦図(明治期 — 国立国会図書館所蔵, パブリックドメイン) 大江山(千丈ヶ嶽)鬼嶽稲荷神社からの眺め — 撮影: 倉田幸暢(CC0) 首塚大明神 鳥居と社号標 — 撮影: 倉田幸暢(CC0) 本動画は東方Projectの二次創作です。 #ゆっくり解説 #酒呑童子 #源頼光

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